福祉の資格をとること
2024年03月16日
めひの野園の職員は福祉の資格を入職後に頑張ってとる人が結構います。
作業センターふじなみでは、実は春から社会福祉士の資格を持ったものが4人いることになるらしいのですが、その大半が仕事についてから資格を取得しています。
しいたけ栽培を通じて、障がいのある方の働くを支援しているわけですが資格の意義についてふと考えてみました。
それというのも、ある利用者の方にこの前こんなことを言われたからです。
「〇〇さん(職員)は社会福祉士持っとるから私のことなんでもわかっとるね!頭良い資格だし!」
そう言われたとき、私はこの資格をとってどんなことが利用者の方にしてあげられるのかとはっとさせられました。
その場で、
今までの経験、知識や関わりの中から彼らの障害特性は理解していることもあるし、サービスもわかる。
ただ、彼らが望むことをしっかり提供できるのか、この資格があるから?となると心の中で答えることはできませんでした。
でも、彼らにとってはこの資格が、ある意味目印になっているのかもしれないと。とても深く考えるきっかけになりました。
じゃあ、結局資格とはなんなのか?
勉強して頑張ってとる意味はなんなのか?
それは資格の合格はスタートラインで、その合格に向かうまで勉強した時間や知識を利用してさらに自分の支援している彼らに質の高い支援をすることで彼らの暮らしをより良いものにすることなのかなと。
資格をとっただけで障害特性や自閉症の支援が急に上手くなるわけはないのだ。
そのための勉強というのは終わりがないし、その下地があるから自分たちの福祉がどんな位置にあるかをわかるんだと。
めひの野園でそれってどんなことなのか。
その利用者の方に後日、「めひの野園で1番嬉しいことは何?」と聞いてみた。
すると、「ようわからんけど、自分の部屋があることかなー、誰も入ってこんし、ずっとゆっくり寝とれるわ。」と返ってきた。ここに至るまでいろいろな施設にいたことがあるということを本人から聞いて、そこでは自分だけの部屋はなかったと言われた。
私ははっとした。いろいろな行事や楽しいことを提供したり、いろいろな人との関わりもあるのに、その利用者が1番良かったことは当たり前にひとりひとり個室があることで、めひの野園の環境で、そこでゆっくり誰にも邪魔されず寝れることだった。これはめひの野園にとってとても誇れることであるが、普通の暮らしとしたら当たり前こと。それぞれに個室がある暮らし。それを気づくということは案外今の福祉においては難しいものなのかもしれない。
こんなことについて、最近はつらつらと考えては悩み、利用者の後ろ姿をじっーと見つめる。作業センターふじなみでは今年の春からまた何ができるのだろうか?
資格を持つ私たちが彼らに支援をする意味。
地域の人を巻き込んで、支援の質を向上させて、技術を使って彼らの見えにくい本当の想いを聞き、まだ障がいのことを知らない人にも理解を深めてもらう仕掛けをして最大の理解者になってもらったり。今年度行ったオープンファクトリーはその足掛かりになるように思う。地域や保護者の方の切実な悩みを聞いてここがあるよと安心してもらう。
これを継続していきながらさらに発展させることで、彼らが地域で当たり前の暮らしができて満足できるような、そんな支援をしていきたい。
新たな報酬改定もあり、その内容を見るといかに支援の質というものが問われているのかと思わされずにはいられない。
そのことを理解するために、頑張ってとった資格というものは決して無駄にはならない。あとはそこからがスタートだということを忘れないように来年度に臨みたい作業センターふじなみの一職員なのでした。